月別アーカイブ: 5月 2020

 

ポイントその3 保証人への情報提供義務(465条の10)

事業を行う主債務者(賃借人)の保証人(個人に限る)に対する情報提供義務が新たに規定されました。

事業用物件の賃貸借契約に個人保証をつける場合がこれに当たります。

対象となる情報は、①財産及び収支の状況、②主たる債務以外に負担している債務の有無並びにその額及び履行状況、③主たる債務の担保として他に提供し、または提供しようとするものがあるときは、その旨及びその内容です。

①については、具体的には、個人事業主であれば確定申告書の写し、法人であれば貸借対照表、損益計算書その他これらに類する書類の写しを賃借人から保証人に渡すことが考えられます。

情報提供義務の違反があった場合、これによって、保証人が賃借人の財産状況等について誤認して契約し、その情報提供義務違反を賃貸人が知り、または知り得た場合には、保証人は保証契約を取り消すことができます。

 
 

ポイントその2 元本確定事由(465条の4)

引き続き 改正民法施行 要点ダイジェストです

元本確定とは、保証の対象となる債務が具体的に決まることです。賃借人、保証人のいずれが死亡した場合も元本確定事由とされ、保証債務の元本がその時点までに発生していた債務に限定され、その後に発生する債務は保証の対象外となります。

 賃借人、保証人のいずれが死亡した場合も賃貸借契約は終了せず、賃料債務は発生していくので、賃借人、保証人の死亡後の賃料債務の保証を得るためには新たに保証人を徴求することが必要となります。

 
 

改正民法施行 要点ダイジェスト vol.1 賃貸借契約関係編

令和2年4月1日、改正民法が施行されました。同日以降に締結した賃貸借契約や売買契約に適用されます。

ポイント1 極度額の設定(465条の2)

賃貸借契約の保証人あるいは連帯保証人を徴求する場合に、当該保証人が個人であるときは、極度額(保証の上限額)を定めることが必要となりました。賃貸借契約が事業用目的か否かは問われません。

令和2年4月1日の改正法施行以降に(連帯)保証契約を締結する場合に適用されます。それ以前に保証契約を締結している場合には、同日以降賃貸借契約が自動更新されたとしても、極度額を定める必要はありません。保証契約は、原則として、更新後の賃貸借契約に基づく債務をも保証するものと考えられるからです。

改正民法のポイントをご案内できればと思います。

 

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